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事例
2019/12/12

韓国で文化財・古民家(韓屋)のシロアリ被害調査

↑家具博物館の韓屋
↑家具博物館の韓屋

韓国で近年シロアリの被害が急増し、問題になっています。伝統的建築の韓屋(ハノ)や文化財が被害に遭い、対策が検討されています。弊社にも応援の依頼があり、調査に行って来ました。

↑北村韓屋村の町並み

ソウル市内で伝統的建築の韓屋(ハノ)が集る北村韓屋村で2件の韓屋を調査しました。韓屋は木材と漆喰で出来た重厚で美しい建物です。

↑調査した韓屋

窓枠、ドア枠などに被害が見られます。韓屋には人の入れる床下空間がなく、侵入経路が全く分かりません。昔はオンドル(かまどの煙を床下に通す床暖房)を使っていたためシロアリの被害が抑えられていたと思われます。

↑窓枠のシロアリ被害

↑ドア枠のシロアリ被害

次に、世界遺産の宮殿「昌徳宮」(チャンドックン)の調査を行いました。昌徳宮は1405年に建てられた朝鮮王朝の離宮で、1623年に再建された建物が今も残り、世界文化遺産に指定されています。

↑昌徳宮の進善門

↑シロアリ被害に遭った建物

↑壁紙あいた穴 
          
↑シロアリ被害に遭った柱

この建物も床下に人の入れる空間がないため、シロアリの侵入経路が不明です。地下から侵入してくるシロアリの駆除・予防を床上から行わなければならず、視覚で確認しながら施工ができないため不安があります。また、床は何層もの石板積みの上に漆喰で仕上げられており、その隙間をシロアリが縫うように移動しているとすると、駆除も困難です。
日本の建物に人の入れる床下空間があることは、シロアリの予防、調査、駆除に役に立っていることを再認識しました。
今後、韓国の代理店と駆除や予防の方法を検討し、韓屋や文化財保護に貢献して行きたいと思います。(善)

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