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事例
2022/01/26

解体したウッドデッキの劣化状況


 ↑ 古いウッドデッキの解体に立ち会いました


↑ 床板表面は無数の干割れ(湿潤乾燥の繰り返しによる割れ)と、一部陥没しているところが見られます。


↑ 床板の中が腐朽(褐色腐朽菌による劣化)とシロアリの食害で空洞ができていました。大引きも床板と接する部分に水がたまり、腐朽とシロアリの食害が見られます。


↑ 最近雨が降っていないのに大引きの床板と重なっていた部分は湿っていて黒くなっています。水が流れた跡が筋になっています。右端の2個の束石は土と落ち葉に埋もれています。


↑ 湿っている部分にドライバーを刺すと中は柔らかく、ずぶずぶと深く入りました。


↑ 掘ってみると腐朽とシロアリの食害が確認できました。木材が重なる部分に水が溜まり、腐朽やシロアリの被害が発生します。水が溜まらない工夫が必要です。


↑ 束石から大引きに上がる太い蟻道(シロアリが土と糞で作るトンネル)を発見しました。ここからシロアリが侵入していたようです。ウッドデッキの下に土砂や落ち葉が流れ込み、束石が埋まりかけています。土砂や落ち葉を取り除き、風通しを良くしておけばシロアリは侵入できなかったかもしれません。


↑ 場所によっては大引きが腐朽とシロアリの食害でもろくなっていて、解体時にバラバラになってしまいました。コンクリートの土間の上に大引きを直接置いているため、大引きとコンクリートの間に水が溜まって腐朽とシロアリの食害の原因になったと思われます。基礎パッキンを挿入するなど隙間を空ける対策が必要です。


↑ ウッドデッキの端が家の基礎に接していて、この部分に蟻土(シロアリが隙間風が入らないように盛る土や糞)が盛られていました。基礎の上までつながる蟻道は発見できませんでしたが、ウッドデッキから家にシロアリが侵入した可能性もあります。ウッドデッキは家に密着させず、風通しと点検のため隙間を空けるべきです。


↑ 外した床板を切断すると、干割れから水が侵入して中を腐朽させ、黒く変色しています。乾きやすい表面よりも、一度濡れると乾きにくい中が腐朽します。


↑ 床板の木口(端部)に腐朽が発生しています。


↑ 大引きの木口に腐朽とシロアリの食害が発生しています。木口は水を吸いやすくシロアリや腐朽菌の侵入を受けやすいので、水が溜まりにくい構造の工夫をするとともに、防腐、防蟻剤を良く染み込ませて腐朽とシロアリの被害を防ぎましょう。
今回の調査で分かったことは、

・水が溜まる部分が腐朽やシロアリの被害に遭うこと。
・水が溜まる場所は、床板と大引き、大引きとコンクリートなどの接点、床板の干割れ、木口であること。
・束石回りの清掃が必要なこと。
・シロアリの家への侵入防止のため、家とウッドデッキの間には空間が必要なこと。

でした。

ウッドデッキには木材保護塗料のスーパーウッドステインによる塗装をお薦めしますが、木口にはクレオトップ クリアなど浸透性の良い木材防腐剤による下塗りをしていただければさらに耐久性が増します。
また、経年で起こる干割れや、木口他の水の溜まる場所のメンテナンスにはエアゾールのデッキメンテをお使いください。水が溜まらない構造上の工夫と共に弊社商品でウッドデッキを長持ちさせましょう。(善)