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事例
2018/09/20

トビイロケアリが住宅壁内に侵入

こちらも設計事務所の依頼で、都内の住宅を調査しました。居住者がシロアリ被害を心配しているそうです。大量の茶色いアリが基礎の上を行列をなして歩き、水切りの下から壁の中に入って行くのを見て、殺虫剤で駆除したそうです。当日、アリはいませんでしたが、事前に採取しておいたアリをいただき、顧問の奥村先生(http://www.okumura64.co.jp/)に同定していただきました。

↑住宅の外壁角のクラック


↑水切り下から撮影

 このアリは、もちろんシロアリではありません。シロアリは無防備にコンクリートの上を歩いたりしません。蟻道を作ってその中を通ります。外壁角部には、クラックがあり、雨水が浸入しているようです。水切りの下から見ると、木部が腐朽し、白い菌糸が見えます。アリの行列が出入りしていた部分には土のような付着物があります。

↑居住者が採取したアリ

奥村先生の同定によると、このアリは「ヒメトビイロケアリ」でした。トビイロケアリの近似種で、倒木や腐朽した木材等に営巣します。この現場では、腐朽した木部や断熱材を掘って営巣していたようです。住宅に営巣することは稀だそうですが、今年は当たり年で、奥村先生には全国各地から本種の相談が寄せられているそうです。このアリは糖分を好むため、駆除には糖分を含むベイト剤(毒餌)が有効です。残念ながら弊社では製造していません。(善)

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